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2008.03.17 11:42
故郷リスボンを旅立ったのはいつの事だったろうか。

遠い異国の地。
言葉も通じず、ねっとりとまとわりつく熱気にうんざりしながら、眼光鋭い男と私は向き合っていた。

えいじあ

誰だろう……。誰かに似ている……。

必死に記憶をたどるが思い出せない。

疲れているのだろうか。

いつ終わるともわからぬ修行の日々。
繰り返される単調な戦闘。
誰とも会話を交わすことなく雨を眺め続けていれば、気鬱になるのも当然なのかもしれない。

私は深いため息をついた。



おや?


いいよいいよー


目に飛び込んできたのは頭にターバンを巻いた母子らしき二人組。

この地でターバンとは珍しい。

若かりし頃、敵地へ潜入するためにターバンの巻き方を習った事を思い出した。

あれは、確か、マラガの道具屋だった。いや、工房の主人だったか?

ガレーがとても恐ろしかった頃だ。
幾度となく金や積荷、船員を奪われ、遠くにモジャモジャが見えただけで慌てて舵を切っていた。
船員に酒を振舞おうとし、水タバコしかなく、こっそりと所持金を確認していた。

弱く情けなく、ただ希望だけを胸に航海していたあの頃。


私は深いため息をついた。


母子はじっと立ったまま動こうとはしない。
質素な白いシャツとはき古した茶色のタイツ姿。

ここにたどり着くまでに一体彼女たちに何があったのだろうか。

もしかすると賊に襲われ旦那の命が奪われたのかもしれない。
母はあのたくましい腕で我が子を必死に守ったのかもしれない。

あのターバンだけが、夫の、父の、形見なのかもしれない。


ふとこみ上げてくるものがあった。


一体私はどうしたというのだろう。
見ず知らずの母子に何があったのか、考えていても仕方のないこと。

故郷に帰りたいのだろうか。
それとも、もう戻れないあの頃に戻りたいのだろうか。


いや、違う。



そう。私は――












海事修行アキタ\(^o^)/


飽きた




リスボン出航後、二日目の出来事だった。



↓根性なし!